宇都宮における保育行政の現状        ~課題と問題点~

                                                                                                  030136B 高橋 伸嘉

 

 北関東最大規模の都市としてより一層の発展を目指す宇都宮市だが、少子高齢化が進みまた中心市街の空洞化など問題点も多くある。先日行われた市長選で、新市長として選ばれた佐藤栄一氏も就任記者会見で「次の時代を担う,たくましい宮っ子づくり」を5つの大きな柱の一つとしてあげていた。

佐藤栄一新市長 就任記者会見HP

http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kishakaiken_koho/2004/0411_syunin.htm

 

 このような中、三位一体改革に伴って財源の地方移譲が進むことが予想され、保育行政の財源確保も大きな問題となってきている。今年の宇都宮市市議会第6回定例会での質疑を見てみると、そのことが良く分かる。さまざまな補助金で維持してきたサービスを今後どうするのかという質問がなされている。それに対して前市長の返答は、低価格で高品質なサービスに需要があるというもので、まったく具体的なものではなかった。確かに高品質で低価格ならば良いことに違いないが、果たしてそのようなものが実現できるのであろうか。もし実現できるとしたならば、大きな政府・小さな政府の議論は意味を成さないものとなってしまうと思うのだが。

宇都宮市議会平成16年度第6回定例会 議事録HP

http://www2.city.utsunomiya.tochigi.jp/utsunomiya/cgi-bin2/ResultFrame.exe

 

 少子化が進んだなかでも入所待機児童がなくならない現状や、不景気下での専業主婦の減少、共働き家庭の増加などさまざまな要因によって、ライフスタイルも大きく変化し託児サービスにもさまざまな需要の変化が生まれてきている。そのような中、民間での託児サービス業者の増加が目立っている。このことは、民間が行政の穴を埋めていることを示しており、市民の需要の変化に行政が対応し切れていないことを示していると思われる。料金的には倍以上もする民間託児所に子供を預けなければならないという現状は、「低価格で質の高いサービス」を行政が提供するためには改善されるべきであろう。

入所待機児童数

http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1111/h1118-1_d_18.html

ある幼稚園の保育料金

http://www.sakuranbo.ed.jp/kinder/general/bus.htm

ある民間託児所の料金

http://www.kids-21.co.jp/

 

 また宇都宮の保育園について調べてみると、公立及び認可されている保育園はわずかながら減少傾向にあるのに対し、私立の施設が急激に増加している。このような現状を見ると行政側は住民の需要に的確に答えているとは思えない。安心して子供を産める環境を作ることは、少子高齢化に歯止めをかけるためにも重要なことであろう。

このように見てくると、宇都宮市には保育行政について明確なビジョンがあるとは思えない。今後、財源の地方への移譲に伴い全国画一の政策も変化し、地域独自の政策が求められる。このような中、宇都宮市の保育行政に対するビジョンを見直し、課題を提示したい。

 

宇都宮の保健所の現状

http://www2.city.utsunomiya.tochigi.jp/DataBank/main_9.htm